あしたが楽しみになるリフォーム&リノベーションメディア
2018/06/25 - story

共に年月を重ねた22年。見守り続けた日々が導く気づきと提案。

札幌市:ひとり暮らし(70代)

今から約50年前、ご主人のお父様が退職を機にマイホームを新築。Tさん夫妻も結婚と同時に、その家で同居を始めました。やがて、2人のお子さんに恵まれ、ご夫妻の生活空間だった2階をより子育てしやすいように、工務店に依頼して小さな改築を2度ほど行ってきました。

Tさんが40歳を過ぎる頃には、子どもたちは巣立ち、同居していたご両親とご主人が亡くなり、生活環境が一変しました。かつて研究職に就いていたTさんは「これからの時間を有効に使いたい」と職場復帰。そして、6人でにぎやかに暮らしていた住まいを、変化したライフスタイルに合わせてリフォームしたいと考えました。そのプランと施工を手掛けたのが、誕生間もないSAWAI建築工房でした。22年前、知人のご紹介で当社を訪れたTさんは、私たちの初めてのお客様だったのです。

最初のリフォームで、押し入れや床の間だったところをクローゼットに。中央には仏壇が収納されていた

大好きなエリカを植えた庭を一望するダイニングの窓際には、今回のリフォームで書斎コーナーを

書斎コーナーの傍、以前のリフォームでクローゼットに造り替えたスペースには本棚を造作。退職の際、研究室から持ち帰った書籍をすっきりと収めた

窓辺のカウンターにさりげなく置かれているのは、Tさんが恩師から譲り受けた1935年出版の古い辞書ウェブスター

大学で教鞭をとり、イギリスやアイルランドの歴史を研究していたTさんは、カントリーサイドに建つ古い民家の素朴な佇まいがお気に入りでした。Tさんが現地で撮ったたくさんの資料写真やイギリスの美術館で求めた古いポスターのレプリカなどを打ち合わせの席に持参し、その魅力を楽し気に語られていた様子が、昨日のことのように思い出されます。

Tさんのご希望は、ご両親が暮らしていた1階の全面リフォームと外壁のモルタル塗装。古きよき趣のある英国風のインテリアに彩られた、マンションのように開放的なLDKに替えたいと考えていらっしゃいました。水まわりなども傷んでいる場所を補修しながら、新規の設備に交換。限られた空間を有効に活用するため、トイレと洗面は間仕切りせずにレイアウトしました。

クラシックな空間とTさんお気に入りのアンティークのポスター、絵画などと調和するクロスやカーテン、家具を一緒に探したのも、印象深い思い出です。住まう方のご要望やイメージに寄り添いながらプランを検討し、本当に求められる空間の実現を目指したTさん宅のリフォームは、私たちの仕事の原点となりました。

初めて1階を大幅にリフォームした後のリビング。暖房は既存のままで、構造上撤去できなかった集合煙突にレンガタイルを張って、暖炉風にしつらえた

今回、以前のリフォームに合わせて購入したソファの張り地を変えたことで、室内の雰囲気がぐっとシックな印象に

既存の床、照明を生かしながら、カーテンやクロスを交換したリビング。華やかな大柄の織り地カーテンと、黒のアクセントで見慣れたリビングにも、モダンな雰囲気が加わって

以前のリフォーム工事で照明計画と合わせて造作されたニッチ

収納棚と椅子は、内装プランに合わせて、Tさんと一緒に家具店を回って探した。このスペースは今でも、Tさんお気に入りのミニギャラリー

1階の大掛かりなリフォームから10年が経過し、外壁も「雰囲気のあるくつろぎ空間とより調和させたい」との要望から、モルタル塗りからレンガタイル張りに変更。さらに昨年末、Tさんから10年、15年先の安心のためにと、3回目のリフォームのご相談を承りました。

そして、今年3月に3回目のリフォームを実施。最初のリフォームから22年を経たTさんの住まいには、大きな傷みなどはありませんでしたが、これからの暮らしを考え、水まわりやキッチンを最新の設備に交換。各種設備は、年齢を重ねても使いやすく、安全性の高いものを厳選しました。また「より心豊かに暮らせるように」と、床と照明を除いた内装を一新。Tさんが1回目でこだわった織り地のカーテンも、一緒に見本帳をめくりながら、新しい生地を選んで仕立てました。全体のクラシックなトーンは変わりませんが、今回のリフォームでカーテンのモダンな色柄、インテリア小物に黒が加わったことで、より若々しい雰囲気に仕上がりました。

最初のリフォームで対面式にしたキッチン。カウンターの上に吊り棚、カウンター下の収納は扉式だった

白を基調に、すっきりと明るく生まれかわったダイニング・キッチン

カウンター上にしつらえた吊り棚を撤去し、設備を一新。壁付けの吊り棚は昇降機能付き

キッチン収納は、重たい鍋などの出し入れがしやすいよう、シンクとワークトップ下の収納力をアップ。欲しいものがすぐに手に取れる最新の収納方式に、Tさんも大感激

キッチンの壁には、Tさんお気に入りの手描きの本の1ページを額装して飾っている。15~16世紀に描かれたもので、薬草について記されているそう

吊り棚を撤去した場所には、Tさんが「これが好き」と選んだガラスのペンダント照明が設置され、若々しい印象に

最初のリフォームで、キッチンだったところを造り替えてつくったトイレと洗面

今回のリフォームでは設備と壁紙、建具を替えて、リフレッシュ。右のドアの先には脱衣スペースがある

Tさんがずっと好きなモノ、今気になるモノが自然になじむ新しい生活空間は、Tさんのこれからの暮らしを頼もしく、楽しく支えてくれることでしょう。

Tさんより

最初のリフォームから22年。隅々まで配慮が行き渡る仕事をしてくださったお陰で、住まいにはどこにも不満はありませんでした。仕事中心の生活から離れて2年が経ち、家で過ごす時間が長くなりました。先々の人生を考えた時、いろんな選択肢が思い浮かびましたが、やっぱりこれからも愛着のあるこの建物に住み続けたいと思いました。そこで、終の棲家として安心して暮らすために今、万全の備えをしたい。長くお付き合いを続けてきたSAWAI建築工房さんなら、これからの暮らしをもっと楽しく、豊かにする住まいに替えてくれると確信し、3回目のリフォームをお願いしました。私の好みやこだわりを知り尽くしている横沢さんが、1回目の時に私のために選んでくれたものはどれも質が良く、結果的にはとても経済的でした。今回も安心してお任せできました。リフォームで日々の生活までリセットされ、気分も若返りました。22年前の出会いに、心から感謝しています。

夕暮れのリビングで、ワインを片手に22年の思い出話に花を咲かせるTさんとSAWAI建築工房のスタッフ